「前にも言ったよね」と言われた、私のお話
何があったのか
人手が足りず、他の部署の事務作業に週一で借り出されていた時期がありました。
本来の仕事があるのに。
人手不足で借り出された業務は、ECサイトの商品発送業務。
転職でもしたのかというくらい、業務内容ががらっと変わりました。
業務説明を受けるものの、めちゃくちゃ早口。
初めてさわるサイト、業務フロー、商品の発送方法etc…
とにかく体感で覚え、メモを取りながら一通りの業務を覚えました。
ひたすらメモをとって対策をしたが・・・
「わからないことがあれば聞いてください」と言われても、分からないことだらけ。
その上、相手も他の仕事に集中してしまい、どうやったって質問できる雰囲気ではない・・・
そんな状態で週に1度の稼働。(他の仕事もあるのに)
当然ながら「それ、前にも言いましたよね」を言われることとなりました。
当時の私は改めて確認したことを、改めてメモに取るくらいしかできませんでした。
「樹里さんってなんでもかんでもメモ取るんですね。逆に非効率じゃないですか?」
いや。無理だろ。
ていうか私がヘルプに入る前に、マニュアル整備くらいしとけって。
できる人には当たり前だが、初めて担当する人はそうではない
例えば、こんなミッションがあったとします。
スマホやメールを普段使いする人にとっては、なんの苦もなく対応できますが、
スマートフォンを初めて使う場合、どうなるでしょうか。

メールアプリ?どこを触ったら送信画面になるの?Bさんをccに追加?
CC…?はて…
何も考えずにできる人にとっては「なんでこんなこともできないの?」と思うのかもしれません。
ただ、失敗も許されない以上、初めて対応する仕事はより慎重になって当然です。
違うボタンを押してしまい、結果、送信先に迷惑をかけることだってありますし。
仕事はもっと複雑ですよね。
そのために研修があったり、担当する仕事をこなせるスキルを持つ人を採用するものですが、
現実はそう上手くも行かないケースが多いです。
(私のように、担当外の仕事が急に降ってきて、仕事できないやつって言われる理不尽さよ・・・)
「前にも言ったよね」はパワハラになるのか
厚生労働省のパワーハラスメントの定義として、以下が掲載されています。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
こちらを踏まえて、「前にも言ったよね」がパワハラに当たるのかを解説します。
上司から、威圧的に言われることが多い

前にも言ったよね」この言葉が使われるシーンって、どんなイメージですか?

仕事ができなくて、上司から怒られているシーンかな・・・
「前にも言ったよね」
言い方によっては、相手を責めるように聞こえることがあります。
上司や先輩から、強い口調で言われたらどうでしょうか。
言われたほうは、「責められている」「自分はダメだと思われている」と感じるきっかけになってしまいます。
建設的な指導になっていない
そもそも。「前にも言ったよね」では、何が問題なのかが明確に伝わりません。

これでは、相手を否定するだけですよね
また、ミスを指摘する際に「またかよ」「前にも言ったよね」をセットで使うことは、
過去の失敗を執拗に責める、パワハラの典型例です。
具体的な改善策や、指導はなく、「前にも言ったよね」だけを言うのは、心理的にも追い詰められて行きますよね。
これでは、業務上必要かつ相当な範囲を超えるのではないでしょうか。
業務指導の域を超えて、人格否定に近くなることがある
繰り返しこの言葉を使われると、「自分は物覚えが悪い」「迷惑をかけている」と感じてしまうのではないでしょうか?
それだけでなく、他の社員がいる前で言われることもありますよね。
その場合の精神的ダメージといったら…。
こうなってくると、労働者の就業環境が害されるに該当します。
注意点:必ずしもパワハラとは限らない
「前にも言ったよね」がパワハラになる例をあげました。
ただ、気をつけてほしいのが “一度言われただけでパワハラになるとは限らない” ということ。
仕事を覚え、いつかは一人でも業務をこなせるように、上司や先輩は仕事を教えてくれています。
「1回で覚えられないんだし、その都度確認すればいーや」
もし、何度も何度も同じことを聞いているようであれば、教える側から呆れられてしまいますよね…。

重要なのは「言い方」「頻度」「場所」「文脈」です。
ただ、厚労省の見解では、
受け手が不快・屈辱的と感じ、それが業務に支障を与えるレベルであれば、パワハラになりうるとされています。
「前にも言ったよね」を何度も言われ、つらさを感じるのであれば、それはパワハラになります。
その場合は無理せず、周りの人や、人事担当者に相談をしてください。
まとめ
「前にも言ったよね」
たった一言でも、繰り返されることで心はすり減っていきます。
指導とパワハラの境界線は曖昧ですが、自分が「つらい」と感じたなら、それは無理をしているサインかもしれません。
私自身、その言葉に傷つき、悩みながらも「これは普通じゃない」と気づくことができました。
もし、あなたが同じような言葉に苦しんでいるなら、
ことを大切にしてください。
職場は、苦しみに耐える場所ではありません。
自分を守ることは、甘えではなく「正当な権利」です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。